世界の稲作文化発祥地、上山遺跡を訪ねて 浙江省
浙江省金華市浦江県にある上山考古遺跡公園。(5月12日撮影、浦江=新華社記者/黄宗治)
【新華社杭州6月14日】中国北京市の首都博物館で開かれている「万年永宝-中国館蔵文物保護成果展」では、浙江省金華市浦江県の上山遺跡から出土した「1万年前のイネ」も展示されている。
世界の稲作文化発祥地、上山遺跡を訪ねて 浙江省
上山考古遺跡公園に立つ「万年上山 世界稲源」碑。「ハイブリッド米の父」と呼ばれた袁隆平(えん・りゅうへい)氏の言葉で「悠久の上山、世界稲作文化の起源」の意。(5月12日撮影、浦江=新華社記者/黄宗治)
上山文化考古学調査チームのリーダーを務めた浙江省文物考古研究所の蔣楽平(しょう・らくへい)研究員によると、出土したイネは約1万年前に世界の稲作文化が上山で始まったことを示す直接証拠だという。
世界の稲作文化発祥地、上山遺跡を訪ねて 浙江省
浙江省金華市浦江県にある上山考古遺跡公園。(5月12日撮影、小型無人機から、浦江=新華社記者/黄宗治)
同遺跡は2000年9月、蔣氏の調査チームによって発見された。出土した炭化物付着土器片は、北京大学の放射性炭素年代測定実験室の測定により、8600年~1万1400年前だと判明した。05年には、中国社科院考古研究所の趙志軍(ちょう・しぐん)研究員らが初めて約1万年前のイネを発見。科学者は研究の結果として、上山の先住民が1万年前にイネの野生種の栽培を始めていたとの結論を出した。
世界の稲作文化発祥地、上山遺跡を訪ねて 浙江省
上山考古遺跡公園の発掘場所で再現された発掘調査の様子。(5月12日撮影、浦江=新華社記者/黄宗治)
中国の考古学界は06年、上山遺跡をはじめとする新石器文化を「上山文化」と命名。長江下流域と南東沿海地区で最も古い新石器文化となった。
上山考古遺跡公園に展示されているモミガラの混じった炭化物付着土器。(5月12日撮影、浦江=新華社記者/黄宗治)
中国考古学会などが20年に主催した「上山遺跡発見20周年学術シンポジウム」では、同遺跡が世界で最も古い稲作遺構であり、上山文化は世界の稲作文化の起源であると確認された。
世界の稲作文化発祥地、上山遺跡を訪ねて 浙江省
上山考古遺跡公園の発掘場所で再現された発掘調査の様子。(5月12日撮影、浦江=新華社記者/黄宗治)
中国社科院考古研究所の李新偉(り・しんい)研究員は「上山遺跡は中国で最も早い時期の人の定住の痕跡を示す遺跡だ」と説明。国内の一部の地域ではさらに古い時期の新石器時代遺跡も見つかっているが、火の使用痕跡が残るのみで、建築遺構は見つかっていないという。
世界の稲作文化発祥地、上山遺跡を訪ねて 浙江省
上山考古遺跡公園遺跡館に展示されている大口盆。(5月12日撮影、浦江=新華社記者/黄宗治)
蔣氏によると、上山文化の遺跡から出土した土器は現在、米スタンフォード大学の専門家が炭化残留物の研究を進めている。先住民がコメで酒を作る技術を持っていた可能性もあるという。上山文化では橋頭遺跡(浙江省義烏市)からも精美な彩色土器が見つかっており、中国彩陶文化の重要な起源の一つとされている。(記者/馮源、趙悦)